C'MON ダンスワールド 【追加公演】
24 Jan 2004 , 25 Jan 2004
At Yokohama Arena
【第7章 新横浜「狂想」曲】
「22歳の私」が終わり、大歓声に背中を押されて、なっちは仲間の待つメインステージに向かって歩き始めた。
そして、なっちの卒業式が始まった。
BGMは「NEVER FORGET」だった。
結局、紺ちゃんは安静にしていなければいけない状態だったらしく、ステージ上に現れずじまいだった。
紺ちゃんのメッセージは、かおりが代読した。
そして、メンバーそれぞれからの贈る言葉が次々と…。
もし泣くとしたら、この部分だと覚悟を決めていた。
6期メンバーから順に…
最初はれいなだった。
最年少のメンバーとして加入したれいなは、歌唱力でもメキメキと頭角を現し、なっちと組んでセンターに
出ることもあったメンバーだ。
続いてシゲさん。
なっちに暖かい声をかけられ、一瞬にして固まってしまったシゲさんもまた、寂しくなるはず。
そして、パッツン。
彼女は6期メンバー唯一の「さくら組」メンバーとして活動しており、その分他の同期よりなっちとの想い出は
多い。なっちの「お母さん専用線」を茶化したこともあるという。
そんな想い出がよぎったか、涙の止まらないメッセージになった。
6期の異色・ミキティ。
以前からハローでの付き合いはあったが、濃密な時間はこの1年間だけだったはず。それでもお互い楽しんだりと
いい想い出を作ったと思う。堂々たるメッセージは、改めて大物感を漂わせた。
5期メンバー…
日本一のなっちヲタ・ガキさん。
彼女はなっちに憧れてモーニング娘。を志し、実際にオーディションを通った経歴の持ち主だ。
なっちを「最も尊敬する先輩」と常々言っていただけに、別れは辛い。
彼女もまた、涙の止まらない送別となった。
続く愛ちゅん。
加入当初からかわいらしいルックス、高い歌唱力もあって、なっちの正統な後継者との呼び声も高かった。
これまでの卒業式では、ほとんど言葉を送れなかった愛ちゅんだが、今回は最初こそ言葉を詰まらせたものの
「久しぶりに会ったときに「成長したね」って言ってもらえるように頑張りますから!」と力強く宣言して
くれた。「ずっと娘。を愛していてくださいね」と言われて「うん!ずーっと大好きよ!」と返事をしたなっちに
「大好き!」と抱きついた。想いの深さを知るところである。
そして、まこっちゃん。
なっちとの組み合わせは「魚屋の夫婦」。
そんなマコは、加入の頃からいろいろアドバイスをもらったりとか、すごく嬉しかったと言って別れを惜しんだ。
4期になると、いっそう想いはつのる。
今夏の卒業が予定されているあいぼん。
昨春の圭ちゃん卒業に当たっては「卒業しないで欲しい」という爆弾を投下した彼女だけに、ここ一番の言葉は
心して聞かねばならぬ。
88年の早生まれのあいぼんさんは、なっちをお姉さんのように慕ってきたはず。大好きなお姉さんの卒業に
際して「今まで言えなかったけど、憧れの人でした!」と告白し、憧れの人に「大好き!」と抱きついた。
そして、これまでの卒業式でほぼ常に清々しい表情をしていたよっすぃ〜。
しかし、彼女も涙で声を詰まらせてしまう。申し訳ないが、これは意外であった。これまでお世話になった
なっちに、思いのたけを伝えて、最後は笑顔で送った。
よっすぃ〜はサバサバしているだけに「男の子キャラ」で見られがちだが、実際の彼女はとても繊細な女の子
なのだと実感する。多くは語らないが、熱い想いを持っているのだろう。
そして、この卒業式のハイライトのひとつが、ののとのシーンだった。
非公式ユニット「マロンメロン」の間柄であり、楽屋でもツアー先でも、常に本当のお姉さんのように
なっちを慕い、なっちもまた、ののを本当の妹のようにかわいがってきた。そんな両名のシーンは、
娘。史上屈指の感動的なシーンとなった。
なっちの前に進んでくるののは、もはや、自分の意思で立っていられなかった。両脇をかおりとりかっちに
支えられてようやく立位を維持できるほどである。
で、いざなっちに向かっても、感情の昂ぶりに言葉が追いつかない。
「大好き…」と言うのがやっとの状態。
あとは言葉にならず、ただただ泣くばかりである。そんなののをやさしく受け止めるなっち。
「うん、なちゅみも大好きだ…よし、こっちおいで…大丈夫か?」
もうダメ。
目頭が熱いどころの騒ぎではない。あまりにも強すぎる絆が引き裂かれる痛みをイヤというほど
思い知らされる。
しかも、今生の別れというわけではない。遠くに行くわけではなく、ハロープロジェクトの枠組みの中に
今後もいるのだ。
それでも、今まで当然のようにいたなっちが、娘。から離れるのは、あまりに大きいショックだったに違いない。
その辛さは、私たちの想像を遥かに超えた次元にあるのだ。
ののは、なっちから離れると、すぐにステージ裏に運ばれた。
あまりのショックに過呼吸を起こしたのだろう。
4期の締めは、りかっち。
昨年末になっちと二人でNHKドラマ「ラストプレゼント」に出演し、二人きりで話をしたりと卒業前にいい
想い出作りができたであろう彼女も、涙が止まらない。
加入当初のネガティブなキャラクタは後にポジティブに転じたが、いろいろな悩みを克服しての成果であったに
違いない。そんなりかっちの奮闘をなっちは先輩として、暖かく見守っていたはずである。
そして、2期唯一の現役生・やぐ。
「笑いのツボが合う」「好きなタイプがカブる」など、いろいろな共通点もあって、無類の仲良しだったふたりも、
今日をもって関係に一区切りとなる。全員がそろった時からもうダメだったが、あらためて対面して涙。
「モーニング娘。は、かおりとオイラのお姉さんチームで引っ張っていくから、安心して
ください!」「任せたよ!」
というやり取りの後、なっちも「矢口にはいっぱい支えてもらったよ」と笑顔で応えて熱い抱擁を交わした。
最後に、同期の桜・かおり。
一言一言が、同じ時・同じ経験に裏打ちされているから、重みがある。
「なっち、覚えてる?デビューが決まった時に「ビッグなアーティストになろうね」
「横浜アリーナを満杯にできるぐらい、ビッグなアーティストになろうね」って…
ねぇ見て。いっぱいだよ。横浜アリーナ…」
リーダーに就任してから1年半余り。ごっちんと圭ちゃんを送り出した時には笑顔だったが、今日ばかりは
涙である。6年余りの想いは、ふたりだけの宝物のはずである。
2日違いで室蘭の同じ病院に生まれ、15年後に運命として再会したふたり。いつまでも、大切にしてほしい。
これで14人のメッセージが送られた。
なっちはその一人ひとりと抱擁しながら、マイクを通さないで全員に言葉をかけていた。そこでかけていた言葉は
知る術もないが、メンバーにとって大事な言葉になったであろうことは間違いないだろう。
これまで何回かの卒業式に立ち会ってきたが、抱擁の長さは史上最長だった。それだけ、なっちというメンバーが
大きい存在だったに他ならない。
そして、娘。メンバーでステージに立てる13人が歌う曲は「ふるさと」。
1999年7月14日リリースの娘。6枚目のシングルだ。「LOVEマシーン」の大爆発直前にリリースされた
曲は、なっちが全編にわたってソロを取る、言わば「娘。名義のなっちソロ」であった。
白いサイリウムに彩られた会場内に、なっちのボーカルが響き渡る。
12人はなっちのバックコーラスに徹し、なっちは各期別に集まる後輩メンバーのところを回っていく。各所で
涙ながらに歌うメンバーと最後の歌を披露するなっちの姿を、私は絶対に忘れない。
「ふるさと」が終わり、なっちの「モーニング娘。でした!」の言葉で、娘。はいったんステージを去った。
そして、間髪いれずに巻き起こる「なっちコール」。今回ばかりは本当に凄まじいの一言に尽きる。何回やっても
ビシッとそろい、乱れない。
そのコールの最中、まこととあっちゃんがステージに現れた。
両名を非難するつもりは毛頭ないが、どうしてもこの公演の登場シーンだけは納得がいかない。全て緊張する
シーンに現れてはピンと張っている糸をことごとく切っていく。
両名に過失も責任もないが、これは演出上の問題だと思う。せめて最終公演だけでもと思ってはみたが、願いは
通じなかった。
そして、メンバーが紹介される。
場内の雰囲気は見事になっち一色。前回の公演まではそれなりに盛り上がる他のメンバーの紹介は、今回に限り
少々雰囲気が違った。皆さんさぞかしやりづらかっただろう。
そして、娘。の登場。
よく見ると、14人なのだが…のの復活の代わりに、あいぼんさん不在!
翌朝の報道によると「ふるさと」終了の時点で倒れこみ、あえなく1曲欠場となったらしい。
最後の最後に歌われたのは「でっかい宇宙に愛がある」。
「愛あらば IT’S ALL RIGHT」同様にメッセージ性の強い歌である。
「言葉で話せなくても離れていても テレパシーってあるんだと信じてみるよ」
紺ちゃんは今日のステージに立てないことを、とっても残念に思っているに違いない。
でも、なっちにも、メンバーにも、このステージを見ているみんなにも、その想いは絶対に伝わっているはず!
そして、遠くにいて、直接声をかけることの叶わない私たちも、なっちに想いは伝えられる。
ハロープロジェクト総勢40人余りが、この冬の祭典の最後を彩る。
「でっかいでっかい宇宙にある まーるいまーるい地球で」
「ちっちゃなちっちゃな思いやりが でっかなでっかな愛となる!」
8小節のリフレーンが、延々と続く。まるで終わるのを拒絶するかのように。
何回繰り返したか、いよいよ最後のリフレーンを示すベースの動きを聞くときがやってきた。
超のつく大歓声の中、メンバーたちはステージ裏に向かいはじめた。
娘。たちも続々とステージから去ってゆく。
そして、残り4人となった時。
まことが突如ステージに現れた。いわく
「加護についてなんですが、先ほど気分が悪くなり、この曲には出演していませんでした。ただ、すぐ脇に
いますので、心配しないで下さい」
だと。
そんなの、今言うべきことなのか。メンバーが退場してゆく最中、ステージの主役はステージを去り行く
メンバーたちである。もしそのことを説明するなら、もっと別のタイミングでいいだろうと、真剣に思う。
またも緊張の糸は切られた。
そして、再び4人の娘。に視線が集まる。
「なっち卒業おめでとう!」の大号令とともに、最大級の「なっちコール」が起こった。
最後の最後まで、なっちヲタの真骨頂を見せ続ける。
なっちも涙ながらに「ありがとう!」と叫んで、とうとうそのステージを下りた。
その瞬間、歓声は「なっちコール」に変化する。
直後、場内のBGMは「Go Girl〜恋のヴィクトリー〜」に変わった。終了である。
満員の観客たちはほとんど帰ろうとせず、歌い手のいないステージに向かって最後の合いの手、ダンスをやる。
Bメロは「なっちPP」に変化した。あたかもステージ上に娘。がいて、歌っているかのような盛り上がり方である。
曲が終わり、場内の観客同士をたたえ合うように、大歓声がこだました。
そしてまた「なっちコール」。いつ止むとも分からない勢いである。
私のいた北スタンドにも、ポリスホイッスルを持った輩がいて、煽ってくれるものだからつい、大絶叫して
しまった。いったんコールが収まりかけたときにふと左上を見ると、コールをやりたそうな奴を発見したので、
アイコンタクトを交わして仕掛けてみると、意外にもこれが大ヒットし、場内はふたたびコールがこだました。
ところで、隣のなっちヲタは、コールの最中にも感極まり、時々泣いたりしていた。
お隣のためにも、元気にしている私が頑張らねばならぬ。いらない義務感に駆られ、さらに直下のアリーナCの
ワッショイ席にいた、どこぞのチームの人間を煽ってさらにコールを起こしてきた。
あちらも上から見た目普通の奴が仕掛けているものだから、面白いほど反応してくれる。こういうのを見ていると
楽しいし、嬉しくなる。もう、大暴れである。
15分もコールを続けていたところ、案の定、喉がおかしくなった。
数列後ろに、京都からいらした方が「なっち おおきに」というプレートを持っていたので、すこし話してみる。
「いや、全然大したものじゃなくて」と謙虚だ。
彼らの意気に感じ、私も一緒に「なっち、おおきに!」と叫んできた。
そして場外へ。
意外にも、私の足取りは軽かった。涙も乾いた。
|
|
|
|
|
|
|
|
||
|
|
|