モーニング娘。コンサートツアー2003・春
NON STOP!
2003年5月4日〜5日 さいたまスーパーアリーナ
第6章[NON STOP! 最終公演 後半]
[E MC-07]
圭ちゃんをはじめ、娘。の知らないうちに、またまたファンは壮大などっきりをやらかした。
赤が好きな圭ちゃんのために、会場内に赤いサイリウムをいっせいに点灯させる、という企画
だったのだが、思いのほか大成功になった。すでに横浜アリーナの「タンポポ祭」で実績があったためか、
かおりんが息を呑んだ。圭ちゃんもすぐに気づき、驚きに言葉を失った。500レベルで見ていた者に言わせ
ると、アンコール直前の瞬間、アリーナからすーっと場内が赤くなっていった、とのことだった。
かおりんは「圭ちゃん、みんなの愛がいっぱいだよ…」と圭ちゃんに伝えた。…美しい言葉だ。
これに対し、「みんな、ありがとう!」と圭ちゃんは応えた。
壮大な作戦は成就したらしい。
精力的に歩き回り、呼びかけを続けた、あの連中に拍手を贈りたい。
各メンバーがそれぞれMCを取って行ったが、この赤い光のじゅうたんに感動して、思わず涙してしまった
のが、なっちだった。なっちはまだ卒業しないはずなのに…感動やさんのなっちの涙だった。
しかし、あまり考えたいことではないが、なっちにもこれから先、卒業という時が待っているはずだ。
その時、私はどんな心境で会場にいるのだろうか。
各メンバー、一様に驚きの表情を見せたが、このMCではまだ涙で…というメンバーは見当たらなかった。
そして、なっちが曲の紹介をして、アルバムに収録されたお別れのナンバーが奏でられ始めた。
E1 卒業旅行 〜 モーニング娘。旅立つ人に贈る唄 〜
今年の冬、圭ちゃんはやぐ・梨華っちとともに温泉旅行に出かけたという。
その時のことをつんく氏にメールで報告したところ、しばらくの後にこの曲が渡されたという、素敵な
エピソードがある。
歌詞の世界も、おおよそその旅行の内容に沿ったもので、圭ちゃんとやぐは、歌詞を見て大泣きしたという。
「良い仲間だ 大好きだよ」というのがあまりにリアルすぎる内容である。
さすがにこの曲ではメンバーの目にも光るものが目立ち始め…。
全くの余談で恐縮だが、私の中で好きなキー(調性)というのがあるらしい。
今までの傾向で見ると、D・Fのメジャー・Fのマイナーが個人的感覚で特に好きらしい。この「卒業旅行」
は、Dメジャーで進行し、最後まで転調なしである。Dメジャーは、響きがどこか開放的な感じがして、気持ち
良いのである。
[E MC-08]
いよいよ圭ちゃんのソロMCである。
1998年5月3日に加入し、ちょうど5年間を娘。で過ごした圭ちゃんは、いよいよ今日、娘。を旅立つ日
を迎えた。今日、この公演には関東近県はもとより、全国からファン(ヲタ)が押し寄せ、卒業式にいろどりを
添えようとしていた。
そんな観客たち2万8千人を「仲間」と呼んでくれた圭ちゃん…絶対に忘れないからね!
そして、圭ちゃんの卒業と入れ替わるようにして、合流の日を迎えた6期メンバー。
彼女たちの紹介を、圭ちゃんが担当した。ミキティを除く3名は、表情もさまざまである。
大物感を漂わせていたれいな、ガッチガチに緊張…でも最後はちょっとリラックスしたさゆみん、かわいらしい
スマイルをふりまきあいさつした絵里ちゃん。そして、ソロツアー経験も持つ「転校生」ミキティ。
そして、いよいよ史上最大の16人編成で歌われる瞬間がやって来た。
E2 Do it Now!
昨年夏に発表された、マイナー調のナンバー。
なっち・ごっちんという当時のツートップに、次代を担う5期メンバーから愛ちゃん・こんこんの2人がメイン
ボーカルに抜擢された作品。昨年9月にごっちんが卒業し、そのパートはごっちんに教えを受けたあいぼんが立派
に歌っている。
今回は16人という大人数で披露されている。
まもなくステージを降りる圭ちゃん、見送る形のなっち・かおりん以下5期までの面々、これから娘。を引き継ぐ
6期のメンバーたちが一体となったステージングが展開されている。
数ヶ月に及ぶ厳しいトレーニングを積んでいるとはいえ、実戦の経験が浅い6期の3人も、必死にがんばっている
ようだ。そのがんばりこそが、娘。の底流たる部分のはず。今後の飛躍に期待したい。
6期メンバーから順に、圭ちゃんに言葉を捧げる時間になった。
いかに圭ちゃんが、メンバー内で慕われていた存在だったかが如実に示された瞬間でもあった。
6期メンバーは、ほとんど接していた時間がなかった分、あっさりとしたものだが、5期になると様相は一変する。
愛ちゃんは「オバチャン…保田さんには…コンサートの楽しみ方を教えてもらいました」と言ったきり、とうとう
立っていられなくなり、床に崩れ落ちてしまった。圭ちゃんはそんな後輩・愛ちゃんを「こら、立ちなさい!」と抱き
起こし、最後まで支えていた。
こんこんは早いうちから涙ぐんでいたが、いよいよ言葉に詰まる状態。圭ちゃんはそんなこんこんの髪をやさしく
なでていた。
そういえば、こんこんが番組収録でケガをして、復帰したとき。
圭ちゃんはこんこんに近寄り、彼女の回復を喜び「やっとペアで踊れる」と言っていたっけ。
4期になると、この傾向にはさらに拍車がかかる。
あいぼんの一撃は、翌朝の各メディアでも取り上げられた。
「あの、多分無理だと思うんですけど…卒業しないでほしい…」
(TT)…それはキツいぞあいぼん!その表情で、その声で、そのセリフはキツすぎる。
事実、このセリフで泣かされた人々はかなり多かったはずである。
梨華っちは、件の「卒業旅行」にも噛んでいたメンバーで、圭ちゃんも妹のようにかわいがっていたと聞く。
「オバチャンって言ってたけど…本当は頼りになるお姉さんでした」
そういえば、圭ちゃんは梨華っちの教育係だったなぁ…涙・涙のお見送りとなった。
同期の桜・やぐは、本当に短いコメントを残し、涙をほとんど見せぬままに去った。
多分いちばん寂しくなるのは、やぐなんだろうと思う。
同期で加入して、娘。内でも1期メンバーとの問題、世間的にも1期への同情が強かった時代から、努力を
重ねた5年間、ずっといっしょにやってきたメンバーが卒業するのである。
なっちは1期だが、年齢は圭ちゃんが1つ上。
「また一緒に歌おうね!」そう、圭ちゃんはこれからも仲間だから…。
かおりんはリーダーで、圭ちゃんはサブリーダーだった。
「築いた仲間の絆、もっと深めてがんばっていこうぜ!」と力強く見送った。
E3 Never Forget(Rock Ver.)
今をさかのぼること4年前、1999年4月18日。
新宿・東京厚生年金会館で福田明日香という初代メンバーが卒業した。
今でこそ卒業はあり得ることだと認識されているが、当時は大騒ぎであった。当時最年少だったメンバーが
学業専念を選択して去って行ったのである。
その卒業にむけて、つんくが作ったのがこの曲である。
その当時、私はまだモーヲタをやるまでにはなっていなかった。
後日、DVDでその模様を見ただけである。
今回、圭ちゃんの卒業にあたってリメイクバージョンで復活した。
曲紹介でなっちが「モーニング娘。の卒業のテーマソング」と口走ってしまったが、これはなっちの言葉
だったんだと思う。
「ずっとそばにいたいけど 仕方ないのね」
「ずっとそばにいたいけど もう旅立つ時間 ああ泣き出しそう」
「出会ったのは偶然なの だからさよならさえも偶然なの」
これらの歌詞…聞いていて胸が詰まる思いがした。
最後のコードが響き、ステージの全てが終了した。
たくさん叫びたいことはあったが、どうしても声が出ない。
声が枯れて出ないのではなく、出したくとも、胸でつかえて出てくれないのである。
最後の最後に「圭ちゃんありがとう!」とありったけの声でステージに叫び、とうとう終わってしまった
コンサートの会場から出ることにした。
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