大阪市立大学医学部付属病院小児科病棟プロジェクト2003
―アートもクスリ―
Improvement of children's QOL In hospital

一般に病院という場や入院患児の日常は、単なる治療の場であるとか異空間・非日常的な空間としてネガティブに捉えられがちです。しかし、近年、彼らにとってそこはむしろ“一つの地域(まち)”であり“生活の場”であると考えられるようになってきました。本プロジェクトは、長期入院難治性疾患患児たちの日常に、アートプログラムを導入し、アート的な視点によって医療現場に対するネガティブな先入観を取り除き、入院環境(生活の場)における楽しみや喜びを捉え直し、患児らのクオリティー・オブ・ライフ(生活の質、命の質)を活性化し、健全な心身の育成を援助することを目的としています。
また、市民に向け、アートプログラムの成果を展示公開することで、病院と市民との結びつきを築き、病気や障害を持つ子ども達が社会に受け入れられていく過程を支援していきます。

■実施場所:大阪市立大学医学部付属病院小児科病棟
■実施日:2003年4月〜9月(前期)、10月〜2004年3月(後期)
■対象:小児科病棟入院患児(参加希望者)
■主催:aLL(art of Life-Light)
■企画・運営:aLL(art of Life-Light)
■共催:大阪市立大学医学部小児科
■後援:大阪市立大学医学部附属病院

■プロジェクトの特性
―継続したワークショップ活動―
1〜2週間おきに行うワークショップ活動を基本とし、1プログラムを半年間継続して実施します。継続した活動を行うことで、一過性の取り組みでは得難い参加者との結びつきや新たな環境の創出を目指します。
各プログラムにはアーティストが参加し、ワークショップに関わる作品は、期間中、病棟内で展示や貸し出しを行います。

―市民にむけた展覧会―
プログラムの最後に、活動記録とアーティスト、参加者作品による展覧会を院内で行い、市民に向け、アートプログラムの成果を公開します。これにより院内での取り組みを広く認知してもらい、病院と市民との結びつきを築き、病気や障害を持つ子ども達が社会に受け入れられていく過程を支援していきます。

―医療とアートの現場の連携によるアート・プログラムの開発―
療とアートの現場に携わる者、すなわち医師、アーティスト、ワークショップ・プランナーが各々の専門知識と経験を元に有機的に交流、かつ連携し、アート・プログラムを開発、実践していきます。異業種が交わることで生まれる新たな発想や可能性の拡大を探ります。
以下2つのアートプログラムによって、上記目的の達成に向け展開していきます。

□ アートプログラム1 ―外部とのつながりを重視したプログラム―
「そちらの空はどんな空?―とおいおそらのこうかんにっき―」 企画:ゴウヤスノリ
□アートプログラム 2 ―内部との関わりを重視したプログラム―
「ようこそマイルームへ ―スイッチ、ザ・カーテン!オープン、ザ・ウィンドウ!-」 企画:飯田紀子