ワインは冷えている (SANSO/1)



 まったく一体何が気に入っているんだか、こいつは毎日の様に俺の部屋に入り浸っている。

「見るモンないね。」
 退屈そうに新聞の番組欄を見る邪子。
「今日サッカーじゃねぇ?」
「あぁ…、これか。」
 邪子はリモコンでチャンネルを合わせた。
 時差のある外国での試合は夜9時から生中継で、それでも帰ろうとしない邪子。俺は放っておくしかない。つまらない顔はしてないけれど、お前サッカー知ってんのか? 終われば11時だろ、見て行く気か?
 1月に入って雪こそ降らないものの路面も凍る寒さだ。暖かいのはこの部屋の中だけ。

 わかんねぇ。なんでここにいんのかな。俺達何してんだろ。



 体の関係?


 …時々。


 夏に無理矢理。
 それ以降、どの位でするかなぁ。
 お互い「好きだ」と言って始めた関係でもない。ズルズルと、だ。
 嫌がる様子もない。だが「好きだ」とも言われない。

 毎日夕方を邪子は俺の部屋で過ごす。襲っていいやら悪いやら。
(俺は性欲にまみれてんだけどな! 毎日でもしてぇし! この前やったのいつだったっけ?)
 …襲えば…お前はやらせてくれるんだろうな。

 だからこそ簡単には襲えない。
 番組のリーダーが女に飢えてますだなんてカッコ悪ィし。
 お前の事、時々抱いてやってもいいぜ、って感じでいたいじゃん。
 俺の方が上でいたいじゃん。

(好きだって言えよなぁ。)

「で、妖はどっち応援してんのさ。」
「ん?」

 つーか、どこ対どこなんだか。片方は日本だよな? …どうでもいい。

「な、邪子。」
「あん?」

 やりてぇ。限界。

 えぇっと、いつ以来だっけ?



20040223〜20040301 ナガレバヤシ   Qujila , SANSO , MIX


ワインは冷えている (SANSO/2) へ