梅花書家
儂(わし)が住居は武蔵野の一隅にある。平生読むだり書いたりする「廊下の窓からは甲斐東部の山脈が正面に見える。三年前建てた書院からは、東京の煙が「望まれる。一方に山の雪を望み、一方に都の煙を眺むる儂の住居は、即(すなわち)ち都の味と田舎の趣とを両手に握らんとする儂の立場と欲望を示して居るとも云える。
「みゝずのたはごと」より
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