ご挨拶
病気にかかると、大変損をしたように思います。
やさしい野の花を描き、心に響く詩を書いて、多くの人々に慰め、勇気、感動を与えて下
さっている星野富弘さんは皆様もよくご存じかと思います。
星野さんは中学校体育教師として赴任して間もなくクラブ活動中に頸髄挫傷で手足が麻痺
してしまいました。その時の落胆がどれほど大きかったか「愛、深き淵より」(立風書店)
に書かれてあります。
しかし、この落胆からよみがえり、多くの人々に感動を与える作品を次から次へと発表され
ました。いくら頑張っても1日2時間ぐらいしか筆を口にくわえることができないそうですが、、、
私の好きな星野富弘さんの詩を一つ載せさせて頂きます。
いのちが一番大切だと思っていたころ
生きるのが苦しかった
いのちより大切なものがあると知った日
生きているのが嬉しかった
病気はある人には損と思えるかもわかりません。しかし、病気をしたからこそ、そこに宝を
見いだす人もいます。今回の展覧会で、子ども達が見つけだした「宝」を共に味わって頂きた
いと思います。
山野恒一(やまのつねかず)大阪市立大学医学部小児科教授